プラスチックごみで汚れた海岸

マイクロプラスチックを減らすために / 暮らしの中で、できることから始めよう

前回の記事「マイクロプラスチックとは? / あたえる影響と問題について考える」につづき、今回は日本のプラスチックごみの現状を知り、普段の生活の中で地球に住む生物や人間ひとりひとりの健康のために、マイクロプラスチック(プラスチック)ごみ問題とどう向き合い行動すれば、ごみを減らすことに繋がるのかについて、ご紹介していきます。

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砂浜に落ちているマイクロプラスチック

マイクロプラスチックを減らすために、日本の現状とできること

プラスチック容器のごみ

マイクロプラスチックの元となる、プラスチックを減らさないかぎり問題は解決しません。世界のプラスチック生産量は、1950年代は約200万トンだったのに対して2015年には約3億8千万トンと、急激に増加しました。今後もプラスチック生産量は増え続けると予想されています。しかし、プラスチックは、医療などの衛生面で大きなメリットが得られる素材でもあるため、すべてのプラスチック製品に対しての否定はできないでしょう。ただ、私たちの日常の場面では気づかないうちに、過剰包装などムダなプラスチックがたくさん使われていることも事実です。

日本のプラスチックごみの現状

日本に目を向けてみると、廃プラスチック排出量(2018年)は891 万トンとなり、そのうちのプラスチックリサイクル率は84%(2018年)です。この数値をみると高いリサイクル率に見えますが、「サーマリサイクル」というプラスチックごみを焼却して熱エネルギーに変えるリサイクル方法が56%を占めています。このサーマリサイクルという方法は、欧米ではエナジー・リカバリー(エネルギー回収)などと呼ばれており、リサイクルとは認められていません。それ以外の、プラスチック製品へ再生する「マテリアルリサイクル」はわずか23%、「ケミカルリサイクル」という化学原料に再生する方法は、4%です。

またUNEP(国連環境計画)の報告書『SINGLE USE PLASTICS』によると、日本人1人あたりのプラスチック容器包装ごみの廃棄量は、アメリカに次いで世界第2位となり、私たちが出すプラスチックごみが、諸外国と比べて多いことが分かります。

上記の現状から、私たちはゴミを減らすための取り組み「3R(リユース、リデュース、リサイクル)」をあらためて見直し、行動を改善する必要があるといえます。製品を購入したり使うときは、プラスチックをリデュース(減らす)、リユース(再利用)できないかをまず考えて、ごみを増やさないようにすることが大切です。さらにリフューズ(断る)を加えた「4R」が意識できるようになると、なお良いでしょう。

プラスチック製品の利用を減らす

海洋プラスチックごみが完全に自然分解されるまでに、数百年ものあいだ海の中を漂っていると考えられています。ペットボトルに関しては、450年も時間がかかるそうです。

消費者である私たちは、責任を持ってプラスチック製品やプラスチックごみと向き合わなければなりません。ここでは、どのようにプラスチック製品を減らせばいいのか、アイデアをいくつかご紹介します。

⑴  過剰包装していないものを選ぶ

たくさんのフルーツが入ったバスケット

お買い物のときは、なるべくプラスチック製のパッケージやビニール袋に入っていないもの、または簡易包装の商品を優先的に選ぶようにします。例えばフルーツは、袋入りのリンゴではなくてバラ売りを買うようにする、ギフトラッピングはシンプルにするなど工夫します。

量り売りのお店があれば、自宅から容器を持っていきましょう。食べ物は、食べきれる分だけ買うとフードロスになりません。

⑵ 化粧品や洗顔料等の成分を見る

メイク道具一式がテーブルに置いてある様子

ボディシャンプーや歯磨き、口紅などのコスメの中には、マイクロビーズ(0.001mm~0.1mm)と呼ばれる、ポリエチレンやポリプロピレンなどのプラスチックが含まれている製品があります。

洗顔料や化粧品を購入する前に、成分表に「ポリエチレン」「ポリエチレン末」「コポリマー」「ポリプロピレン」などの記載がないか、必ず確認しましょう。

できるだけ天然由来成分の化粧品を選ぶようにして、お肌と環境にやさしいものを使いましょう。

⑶ 天然素材を選ぶ

オーガニックコットンの綿

アクリル、ナイロン、ポリエステルなどの合成繊維は、ファイバー(繊維)状のプラスチックです。プラスチックの繊維から発生するマイクロプラスチックは、マイクロファイバーと呼ばれています。合成繊維の衣類を洗濯したり、着用するだけで、たくさんのマイクロファイバーが放出されます。ある研究(Browne et al. 2011)では、ポリエステルやアクリル衣類1着を1回洗濯すると、1900本以上ものファイバーを放出することが分かっています。

あたらしく肌着や洋服などの衣料品、カーペットやシーツなどを購入するときは、コットンや麻、羊毛、絹といった天然繊維を選ぶようにします。洗濯につかうネットも、環境にやさしい素材でできたネットを使うようにすると、さらに効果的です。

⑷ マイバッグ、マイボトルを使う

レモンが入ったエコバッグと海の風景

2020年7月1日から小売業を営む全ての事業者を対象に、プラスチック製買物袋の有料化が義務付けられました。すでにマイバッグを持つことが習慣になったという方もいらっしゃると思います。もし毎回マイバッグを持ち歩くのが大変だという方は、普段からリュックサックなど大きめのバッグを持ったり、使用済みプラスチック袋を小さく畳んで、カバンの中に入れておくなどして、新しいプラスチック袋をもらわないように工夫するのがオススメです。

飲み物も、ペットボトルごみを減らすために、マイボトルを持って出かけるように心がけます。外出先の給水場所をチェックしておくと良いでしょう。

 

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⑸ こまめに部屋を掃除する

掃除機

家の中のほこりには、マイクロプラスチックが含まれています。ほこりが溜まっていると、空気中からたくさんのマイクロプラスチックを体内に取り込むことになります。

Environmental Pollutionで発表した研究によると、貝を食べた時に摂取するマイクロプラスチックの量よりも、室内のほこりや空気中からマイクロプラスチックを体内に取り込むほうが多いことがわかっています。

そのため、定期的に掃除機をかけて部屋をきれいな状態に保つようにすることで、マイクロプラスチック摂取量を減らせる可能性が高くなります。

⑹ ごみは分別して捨てる

リサイクルという文字が書かれた木の板

お住まいの地域、自治体のごみの分別方法にならって、きちんと決められた場所に出します。ポイ捨てや不法投棄はせずに、リサイクルできるものはきちんと分けて、処理しましょう。

まとめ

実際に、プラスチックごみを意識してお買い物をすると、お店中の商品がプラスチックで溢れていることに気がつきます。一人一人が余計なプラスチック製品を購入したり、使用することを控えることで、たくさんのプラスチックごみを減らすことができるので、今回ご紹介したプラスチックごみを減らす方法を取り入れて、少しずつはじめて頂けたらと思います。

こうして、私たちが消費する商品を選択し、環境にやさしい製品への需要が高まれば、企業側も前向きに行動してくれるようになるはずです。私たち一人一人の行動から、まず変えてみませんか?

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