アメリカやイギリスのスーパーでおこなわれている「プラスチック・フリー」の取り組みについてご紹介します。
アメリカやイギリスのスーパーの一部では、プラスチックを減らすために、店内で使用する袋を紙や堆肥化可能な材料でできた容器へ変更しています。
アメリカのスーパー ①/ WHOLE FOODS MARKET(ホールフーズ)
ホールフーズは、自然食品とオーガニック食品を扱うアメリカのスーパーマーケットです。
2008年に、全店舗のレジで渡す使い捨てプラスチックバッグを廃止したアメリカで初めての食料品店です。
(画像▶︎WHOLE FOODS店内:バラ売りされている野菜売り場)
ホールフーズでは、アメリカとカナダの全店舗でポリスチレン/発泡スチロールの肉トレーをすべて廃止し、デリコーナーの食品を、施設で100%堆肥化可能な材料からできたサラダボックスを含め、「環境に配慮した食品容器」を使用し提供しています。
そして、2019年5月にホールフーズは、米国、英国、カナダの店舗からプラスチックストローを2019年7月までに撤廃することを発表し、7月時点でプラスチック製ストローを禁止するアメリカで最初の食料品店となっています。
さらに、果物と野菜売り場に置く袋を「小さなビニール袋」に切り替え、硬質プラスチックのロティサリーチキン容器を、約70%プラスチック使用が少ない新しい袋に代える取り組みをしています。これらのパッケージを変更すると、年間推定80万ポンドのプラスチックが削減されることとなります。
このように、ホールフーズは様々な面でプラスチック使用を減らす取り組みをしています。
(画像▶︎WHOLE FOODSでは、重さで果物や野菜を購入するので、自宅から持参したネットに入れてレジへ持っていくことができます。)
アメリカのスーパー② / CO-OP(コープ)
CO-OP(協同組合)は、サステナブル(持続可能)な食料システムの構築や、公正な人々の待遇の確保、健全な環境保護と維持に取り組むオーガニックやフェアトレード商品などを扱うスーパーです。
全国109のコープを代表するNational Co-op Grocers Association(NCGA)では、「紙とプラスチックどちらの方がより生態学的に健全な選択」かについて、アメリカ人が使う紙袋のために毎年約1400万本の木を使用すること、そして1年分のビニール袋を作るためには1,200万バレルの石油が必要になるということから、「紙とプラスチックどちらも健全な選択ではない」ことを示唆しています。そして、この問題を解決するには「マイバッグを持参する」ことが最善の解決策としています。しかし、もし紙またはプラスチック袋を使用せざるを得ない場合には、下記方法を心がけることが大事だと伝えています。
<紙またはプラスチック袋を使用する時の心がけ>
- 紙またはプラスチック袋どちらを使用するか選ぶ時には、自分がリサイクルする可能性が高いものを選ぶ。
- 一度にできるだけ少ない数の袋を使用する。1枚の袋にできる限り食料品を詰め、袋は二重にして使用しない。もし店の従業員に食料品を詰めてもらう時は、袋を二重にしないよう頼むこと。
- 1つか2つの商品を購入した場合は、袋をもらわないようにする。
- 紙またはビニール袋を家に持ち帰ったら、ゴミ箱や梱包材、包装紙などに利用し、必ず再利用する。
- 袋を再利用している近くのリサイクルショップなどへ持って行く。
コープの店舗によりますが、基本的に紙やプラスチックのどちらのゴミもできるだけ出さないよう、またはゴミを出さない選択ができるように取り組まれています。
カリフォルニア州のとある店舗では、画像のようにシャンプーやハンドソープなどの「詰め替え」を自分で持参した容器に入れて購入できます。
(画像▶︎CO-OP店内に置かれた詰替用シャンプーやハンドソープのボトル)
ナッツやシリアルなども同様に量り売りとなっていて、好きな種類を好きな量で購入することができ、果物は紙製の袋に入れて売られています。
コープでは、マイバッグを自宅や車内、オフィスなどに置いておくことで、買い物の時はいつでもマイバッグを持参できるように準備することを推奨し、紙またはプラスチック袋の使用を減らすよう呼びかけています。
(画像▶︎上:CO-OPのナッツやグラノーラ売り場 / 下:紙袋に入って売られていた葡萄)
イギリスのスーパー / MORRISONS(モリソンズ)
モリソンズはイギリスのスーパーマーケットで初めて、多くの店舗で”プラスチック・フリー”の果物と野菜の売り場を展開しました。
最大127種類の果物と野菜を、バラまたはリサイクル可能な紙袋に入れて購入できる、この「バラ売りの果物と野菜売り場」は、2019年中に60のモリソンズストアで展開され、その後全国の店舗で、進行中の店舗改修プログラムの一環として導入されます。
プラスチック・フリーの取り組みは10ヶ月間、まず3店舗(スキプトン、ギズリー、セントアイブス)で試され、顧客が購入するバラ売りの果物と野菜の量は平均40%増加しました。新しい“バラ売りコーナー”を多くの店舗に設置すれば、顧客が購入する果物と野菜の量が同様に増え、さらに推定週に3トン(年間156トンに相当する量)のプラスチックを節約することが期待されます。
またモリソンズのプラスチック削減の取り組みについて、2018-19年の企業責任レビューでは2005年以降、グループが炭素排出量を45%削減したことを詳述しています。
Today we’re making a commitment to increase the number of wonky fruit and veg products we sell by 50% as part of our new Wonky Veg Promises https://t.co/YseO5kjrNh pic.twitter.com/Iy9DMK0cOn
— Morrisons News (@MorrisonsNews) April 4, 2018
モリソンズでは、エシカルな方法で製品を購入、生産、販売する責任をサプライヤーと共有しています。人権を尊重し、労働者の福祉、生産性、そして品質を向上し、サプライヤーと顧客の両者に利益をもたらすことを目指しています。
まとめ
日本のスーパーの多くは、プラスチック袋に入った果物や野菜が販売され、もし個数で販売する果物や野菜があったとしても、備え付けの袋がプラスチック袋といった場合が多いと思います。私の近所のスーパーでも、最近パプリカが一つ一つプラスチック袋で個装されるようになってしまったので、現在は他のスーパーに行ってバラ売りのものを購入しています。
アメリカやイギリスのスーパーのように、”バラ売り”で”量り売り”販売であれば、一人暮らしの場合や、料理に少しだけ必要な分だけ買いたいというときに、少ない量で購入できるので、食べきれないといったフードロスも減り、また食品を少ない量で種類を多く購入でき、栄養バランスの良いバリエーション豊かな料理も作ることができます。
日本では、まだ身近ではない量り売り販売ですが、私たち一人一人がまず出来ることは、買い物時はできるだけプラスチック袋を使用しない個数売りの果物や野菜を購入し、必ずマイバックを持参して買い物にいくこと。コープでも、<紙またはプラスチック袋を使用するとき>はどう行動することが大事かお伝えしていますが、どうしても選択肢がない時に、最善策を考えて行動に移すことが大事だと思いました。
プラスチックの使用量を個人個人が減らし続けていくことで、きっと大きい結果につながると今回「プラスチック・フリー」に取り組むスーパーについて調べて感じています。