有機野菜とは、化学肥料や農薬に頼らない農法(=有機農業)で栽培した野菜のこと。化学肥料や農薬を使用した場合、化学肥料の場合は作物に吸収されないと農地外へ流れ出て地下水を汚染したり、土壌中で温室効果ガスを発生させます。農薬も自然環境を汚染して生物や人間の健康に影響を与えたり、環境や生物へ様々な悪影響を及ぼします。
化学肥料や農薬を使わずに有機農業にすることで、土や川・海など自然環境への負担を減らし、生物多様性の保全につなげることができます。さらに農薬や化学肥料を使わないことは、農産物を作る生産者や私たち消費者の健康を守ることにもつながります。なので有機・オーガニック野菜を選ぶことは、私たち人間・生き物・環境問題などの解決に役立つのです。
今回はふだんの食事に『オーガニック』を取り入れていただくために有機野菜に注目して、おすすめの「オーガニックスーパー」と「有機野菜の宅配・定期便」をご紹介します。
有機野菜を取り扱うスーパー
有機野菜やオーガニック食品、日用品などを取り扱うスーパーをここでご紹介します。ネット通販を行うスーパーもありますが、もし家や会社の近くに店舗があるようであれば、直接お店に行って買い物をしましょう。歩きや自転車を使ってお店に行けば、CO2の排出量を減らすことができます。
JAS法(日本農林規格等に関する法律)に基づいて、有機JASに適合した生産が行われていることを、登録認定機関が調査・認定をする制度のこと。認証された生産者や事業者のみが、有機JASマークの使用を認められています。
有機JASマークは、太陽と雲と植物をイメージしたマークです。農薬や化学肥料などの化学物質に頼らないことを基本として自然界の力で生産された食品を表しており、農産物、加工食品、飼料、畜産物及び藻類に付けられています。
出典:農林水産省:有機食品の検査認証制度
ビオセボン / パリ発のオーガニックスーパー
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ビオセボン(Bio c’ Bon)は、フランスで生まれたオーガニック専門のスーパーマーケット。フランスを中心にヨーロッパで140店舗以上展開し、日本では現在、東京都と神奈川県で27店舗展開しています(2022年2月現在)。
オーガニック食材(野菜、豆腐、お肉など)をはじめ、日用品(洗剤、化粧品など)を取り扱い、ナッツ・ドライフルーツ・チョコレートなどの量り売りも行っているので、少量から買うことができます。
野菜は有機JAS認定を取得したものを中心に取り揃えていて、日常使いできるカジュアル価格でお買い物できます。
イオン / グリーンアイオーガニック
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ビオセボンを展開するイオンは「グリーンアイオーガニック」という、プライベートブランドのオーガニック食品を取り扱っています。グリーンアイオーガニックのマークがついた農産物や加工品などの商品は、すベて有機JAS認証を取得しています。そのほか米国USDAオーガニック認証やEUオーガニック認証を取得した商品も扱っています。トップバリュのオーガニック・スキンケア商品であるジーオ オーガニクスは、すべて国際オーガニック認証 エコサートコスモスオーガニックを取得したものです。
グリーンアイオーガニックの野菜は、生産者のことを知れるように、生産者情報で栽培風景などを閲覧できるようになっています。オーガニック食品の一部は、ネットスーパーでも取り扱いがあります。
【トップバリュ】有機JAS認定取得 グリーンアイオーガニックの取り組み
BIO-RAL(ビオラル) / ライフのプライベートブランド
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BIO-RAL(ビオラル)は、スーパーマーケットのライフがプロデュースした自然の恵みをいかしたオーガニック食品や、健康的で体にやさしい商品を取り揃える「ナチュラルスーパーマーケット」です。店舗は首都圏と近畿圏に展開しています。
オーガニックの農産物・食品・調味料・コスメ用品などを購入できて、有機ドライフルーツやナッツは量り売りで買うことができます。お惣菜も対面販売なので、こちらも量り売り可能です。店内に設置されたビオラル・カフェでは、食品添加物不使用、乳化剤を使用していないジェラートを販売しています。
クレヨンハウス / 絵本・木のおもちゃ・オーガニック専門店
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クレヨンハウスは、子供の未来・多様性の尊重を大切にしたオーガニックで安心な食品や、環境に配慮した暮らしを提案する商品を取り扱っています。東京と大阪に店舗があり、オンラインショップでのお買い物も可能です。
店舗とオンラインショップでは全国の契約農家さんから届く、どこで誰がどのように作ったのか分かる有機JASマークのついた野菜や米、オーガニックの原材料を使用した調味料、オーガニック化粧品や衣類、生活雑貨などを買うことができます。有機JAS認定(※キノコ類は除く)の野菜が毎週届く、定期便もあります。
有機野菜の宅配・定期便サービス
坂ノ途中 / 新規就農者や小規模農家が育てた野菜
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坂ノ途中は「100年先もつづく、農業を。」という企業理念を掲げ、西日本の農家で栽培された農薬や化学肥料に頼らないで育てたオーガニック野菜や果物を中心に販売しています。対象地域でつくられた出荷野菜は、放射性物質検査を行ってから届けられます。
坂ノ途中の特徴は、新規就農者や山間地域の小規模な農家と提携していること。有機農業など環境負荷の小さい農業をおこなうには手間と時間がかかることから、ほとんどが小規模からのスタートとなるそうです。坂ノ途中は、そんな農家さんをサポートして新しく農業を営む人たちを増やすために、新規就農の人たちを優先してパートナーとして選んでいます。
野菜や加工食品などは単品購入も可能ですが、「農家さんを支え農業の安定につながる」「希望のサイクルで好きなものが届く」「送料が安くなる」ということから『定期便』をおすすめしています。坂ノ途中:お野菜・定期宅配の野菜セットにはS・M・Lサイズがあり、「お野菜の説明書」が一緒に届くので、野菜農家さんのことをよく知れたり、保存方法やおすすめレシピを確認することができます。使い慣れない野菜が入っていた時も、レシピで確認できるので安心です。配達は一部のエリアでは、坂ノ途中のスタッフが届けてくれる『自社便配達』が利用でき、宅配便よりも送料が安くなります。
らでぃっしゅぼーや / 独自基準「RADIX」を設定
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らでぃっしゅぼーやは、有機野菜・定農薬野菜を宅配してくれるサービス。一定以上の品質を保ち、環境に配慮した商品を届けるために、独自の環境保全型生産基準「RADIX」を制定しています。RADIXの基準は、①安全でおいしいこと②持続可能で環境にやさしいこと③情報が公開されていること④生産者・メーカーとパートナーシップを結ぶこと⑤作り手とお客さまがともに納得できる価格を設定すること⑥よりよいものを求め、常に代案を提示すること、と6つの考え方を大切にしています。放射性物質検査も行っており、基準値は『不検出~国の基準の1/2以下』と独自の基準を設定して、国の基準よりも高い食品の安心を目指しています。
らでぃっしゅぼーやの定期便には、「セレクトサービス」「ぱれっと」「おいしい定期便」「登録サービス」と4種類用意されています。旬の野菜を届けてくれるセットは「ぱれっと」です。定期便の届け頻度は、ライフスタイルに合わせて自由に調整できます。まずは定期便に申し込んで会員になる必要がありますが、会員になると野菜だけでなく加工品や日用品なども購入することができます。
食べチョク / 生産者から直接届く野菜宅配
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食べチョクは、生産者が旬の野菜や果物などを「直接家まで届けてくれる宅配サービス」です。市場やスーパーを通さずに、収穫されてから最短24時間以内の食材が届くので鮮度がよく、生産者の顔が見えて安心というところがポイントのサービスです。生産者の方々が、どのように野菜を作ったのかを生産者の紹介ページから見ることができます。
食べチョクの特徴は、市場に出回っていない食材や限定商品を注文できるところ。それぞれの生産者が値段を決められるので、生産者へは正当な利益が還元され、消費者は食べることで生産者を応援できるという仕組みになっています。食べチョクの方針では、農作物は農薬や化学肥料の使用を控えること、またはしっかり管理して栽培することを決めています。農薬や化学肥料を使用する場合は、使用する量・回数・種類を登録前に提示することで、生産者登録ができるようになっています。
野菜は、有機JAS認証取得、農薬や化学肥料不使用など自分の好きな野菜を選んで購入できます。万が一届いたものが傷んでいたり腐っていたりと不備があった場合は、食べチョクの品質保証があるので、問い合わせをすると対応してくれます。
全国3,000軒を超える農家・漁師から新鮮食材をお取り寄せする
ココノミ
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ココノミは、有機野菜や農薬・化学肥料不使用の野菜を届けてくれる宅配サービスです。「個性的な美味しさ」にこだわりをもち『露地栽培=テロワール』で育てられた旬で、一番美味しい時期の野菜を取り揃えています。放射能検査はしていないようですが、西日本(関西・中国・四国)を中心としたエリアの産地食材を扱っています。
ココノミの特徴は、気に入った食材はブックマークできて、毎週好きな品と数量を購入できる点です。利用するたびに自分の好みの食材宅配ができあがります。届くのは、毎週土曜日。野菜以外に、調味料や大豆製品、パンなど野菜以外の商品の取り扱いもあります。
まとめ
今回ご紹介した有機野菜を取り扱うスーパーや宅配便を見てみると、企業によって方針が異なり、取り扱い商品の種類や内容が変わることが分かりました。有機JAS認証を取得している野菜であったり、独自に決めた基準に従い農薬・化学肥料を使わず、環境に配慮した農法で作った野菜を取り扱うなど様々です。
共通する点は「生産者の顔」が見えること。どこでどんな風に、生産者の方がどんな思いで作ったのかが分かるので、消費者の私たちも安心して食すことができ、また手間をかけて育てられた食材に感謝して食べようと、食の大切さに気づくことができます。
私は北海道に住んでいて、地元産の食材を優先的に買って地産地消を心がけたいと思っているので、有機野菜はスーパー(イオンなど)で購入することが多いです。有機野菜は普通の野菜に比べて少し高いですが、有機野菜を選ぶことは、その生産者さんを応援することにつながると思い選んでいます。
お住まいの地域に有機野菜を販売しているお店があれば、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか?もし近所にお店がないという場合は、宅配サービスを利用していただけたらと思います。記事を参考に、ご自身にあうお店やサービスを選んでいただけたら嬉しいです。
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