砂浜に落ちているマイクロプラスチック

マイクロプラスチックとは? / 生物と人体への影響と問題について考える

「プラスチック」は私たちのふだんの生活で、さまざまな形となって利用されています。そのプラスチックが、環境問題へ発展していることをご存知でしょうか。なかでも、目に見えないほど小さいプラスチック=マイクロプラスチック(微小なプラスチックは、地球に住む生物へ悪影響を与え、さらに人体にも影響を及ぼす可能性があると言われています。

この記事では、マイクロプラスチックの基礎知識と、現在考えられているマイクロプラスチックが引き起こす影響、そして人の体内にどのように取り込まれるのかについて、ご紹介します。

マイクロプラスチックとは?

砂浜に落ちているマイクロプラスチック

マイクロプラスチックとは、マイクロ(=極小、微小)のプラスチック(=合成樹脂)のこと。一般的に、5mm以下(1mm以下の大きさ)の微細なプラスチックごみのことを、「マイクロプラスチック」といいます。プラスチックは自然分解されず、半永久的に残るといわれています。

マイクロプラスチックは、どうやってできるのか?

マイクロプラスチックの発生源は、2種類に分類されます。プラスチック製品の生産段階でできる「一次マイクロプラスチック」と、自然の力で発生する「二次マイクロプラスチック」です。

一次マイクロプラスチック

化粧品や洗顔料などに使用されている小さなビーズ状のプラスチック原料(マイクロビーズ)や、プラスチック製品を製造するために使われる米粒大のプラスチック粒(レジンペット)のこと。歯磨き粉に含まれるスクラブ剤などのマイクロビーズは目に見えないほど小さく、生活排水と一緒に流され、あまりに微小なため除去できずに、川や海へ流れ出ます。

二次マイクロプラスチック

プラスチック製品が、太陽の紫外線や波の作用など外的要因によって劣化し、破砕して細かくなったもの。ポイ捨てされたプラスチック袋やペットボトルなどのプラスチックごみが、自然環境にさらされて崩壊すると、とても小さくなります。紫外線によってマイクロプラスチックになるまでには数年かかるため、小さくなる前に回収する必要があります。

マイクロプラスチックが与える影響

海の中を泳ぐウミガメ

毎年800万トンのプラスチックごみが、世界中の海に流出していると言われています。2050年までに海の中のプラスチックごみの重量が、魚の重量を超えるという試算も報告(The New Plastics Economy: Rethinking the future of plastics, January 2016)されました。海に流れ込んだ「海洋プラスチック」や「マイクロプラスチック」は、生物や自然環境、人間に取り込まれて、様々な影響を及ぼすおそれがあります。

有害化学物質 / 生き物の健康への影響

マイクロプラチックには、プラスチックの製造時に加えられた難燃剤、酸化防止剤などの添加剤内分泌かく乱作用(環境ホルモン)のある化学物質が含まれます。この環境ホルモンは、生体に異常なホルモン作用を起こし、生殖異変を引き起こす可能性があると言われています。また、環境中で分解されない残留性有機汚染物質(POPs)と呼ばれる海中の有害化学物質(DDT(有機塩素系殺虫剤、農薬)やPCB(ポリ塩化ビフェニル、ダイオキシン類など)をマイクロプラスチックが吸着し、海に有害物質を運んで汚染を広げます。

有害物質を含むマイクロプラスチックを動物プランクトンや小魚、海鳥がエサと間違えて飲み込んで体内に取り込むと、炎症や摂食障害をおこします。そして食物連鎖を通して、生き物の体内に有害物質を蓄積していきます。まだ明らかではありませんが、マイクロプラスチックを摂取した魚などの海洋生物を、人間が食べたときの健康への影響が心配されています。

人体への影響

私たち人間は、無意識のうちにプラスチックを食べています。WWFが豪ニューカッスル大学に委託して実施した調査によると、1週間でクレジットカード1枚分と同じ量の5g、1ヶ月でハンガー1本分の21gのマイクロプラスチックを摂取しているという研究結果を発表しました。2020年12月、イタリアの研究チームからは、ヒトの胎盤からマイクロプラスチックを検出したという発表がでました。

マイクロプラスチック摂取による人間の健康への具体的な影響については、まだ明らかにはなっていません。マイクロプラスチックは体外へ排泄されるとは言うものの、前述の通りマイクロプラスチックには人体へ有害な物質を吸着しているものがあります。このような有害物質は体内に蓄積して、がんの発生や生殖異常などを引き起こす可能性があると考えられています。

マイクロプラスチックは、どのように取り込まれるか?

ペットボトルからグラスに水を注ぐ様子

海だけでなく大気中にも浮遊し、呼吸で取り込まれる

マイクロプラスチックは、人間が吸い込む空気にも含まれていることが分かっています。海に漂うマイクロプラスチックは波しぶきで大気に放出され、地球規模で移動するのです。『Nature Geoscience』に掲載された研究結果によると、フランスとスペインにまたがるピレネー山脈の無人の高高度地域で、1日1平方メートルあたり平均365個のマイクロプラスチック粒子が見つかりました。この濃度は、仏パリの都市部に匹敵。空気に浮遊したマイクロプラスチックは、呼吸をすると人体にも取り込まれます。

食べ物や飲み物から体内に取り込まれる

私たちが普段口にしている食べ物や飲み物にも、マイクロプラスチックが含まれています。2019年6月にカナダのビクトリア大学の研究者らが、アメリカ人の食生活を元に、マイクロプラスチックが食料品(魚介類、塩、砂糖など)や飲料水(アルコール、水など)にどのくらいあるかを調査し、『Environmental Science & Technology』で論文を発表しました。調査によると、人は食事から1年間に平均3万9000〜5万2000個のマイクロプラスチックを取り込んでおり、呼吸して取り込んだ分をいれると、7万4000〜12万1000個になるといいます。

この算出量は、年齢や性別、食生活などによって大きく変わってくるそうで、人がペットボトル水だけを飲んだ場合、上記の数字に加えて9万個のマイクロプラスチックを摂取していることになるそうです。対して水道水だけを飲んだ場合は、4000個のマイクロプラスチックを摂取することになります。

飲料水について、WHO(世界保健機関)の調査では、マイクロプラスチックが人間の健康にリスクを引き起こす可能性は低いと述べています。ただし、現段階では不十分な証拠しかないため、「限られた情報」に基づいた調査しかできません。WHOは、マイクロプラスチックのさらなる研究、飲料水から除去するための新しい方法の開発、水に含まれるマイクロプラスチックを測定するための基準の確立が必要だと言っています。

まとめ

マイクロプラスチックは、海、空気、飲み水、食べ物と、至るところに存在していることが分かりました。人間が生み出したプラスチックごみによって、たくさんの生き物が苦しんでいる状況に心が痛みます。このままでは、2050年までに海の中には魚よりもプラスチックごみの方が多くなると言われています。原因をつくっている私たちが、なんとかして食い止めなければなりません。

マイクロプラスチック摂取による人体への影響は明らかになっていませんが、有毒物質を含んだものを体内に取り込んでいる可能性があると思うと、あまり気持ちの良いものではありません。地球に住む、生物や人間すべてにやさしい環境づくりをして、安心な暮らしを送れるように、プラスチック(マイクロプラスチック)ごみを減らすための行動をみんなで始められたら、嬉しく思います。

次回は、実際に「マイクロプラスチックを減らすために」どのような行動からはじめればいいのか、考えていきたいと思います。

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