牧場の牛

お肉と環境問題の関係とは? / 地球にやさしい選択をしよう

お肉が農場から私たちの食卓にわたるまでの間、どのくらい環境に負荷を与えているのかご存知でしょうか?

実は家畜として育てられる牛・豚・鳥などには、たくさんの資源(土地、穀物、水など)が使われていて、お肉が生産されるなかで、たくさんの温室効果ガスが排出されています。

どんな食材においても、私たちが何気なく食べているものがどのように作られ、環境に影響を与えているのかを知ることは大切なことです。ふだんの暮らしで自分が「何を食べたらいいのか」「何を変えたら環境にいいのか」を選択するきっかけとなり、自分の健康にやさしいものを選ぶことで、私たちの暮らす地球の健康も守ることにもつながります。今回はお肉が食べられるまでの間に、どのような影響を環境に与えて問題になっているのかについて、ご紹介していきます。



温室効果ガスの排出

青空と雲

温室効果ガスとは

水蒸気、二酸化炭素、メタンなどの温室効果ガスは、地球の大気に含まれます。温室効果ガスが地球を取り囲み暖めることで、地球の平均気温は14℃に保たれていますが、この温室効果ガスがないと、地球の気温はマイナス19℃となってしまいます。大量の温室効果ガスが大気中へ排出された場合、地球表面の気温が高くなり、地球温暖化(気候変動)の原因となります。

畜産から排出される温室効果ガス

食肉や乳製品を生産する世界の畜産業から排出される温室効果ガスは、気候変動の大きな要因となっています。CO2換算で、年間7.1ギガトンの温室効果ガスを排出(国連食糧農業機関(FAO))しており、これは人間の活動が原因となる温室効果ガスの14.5%が畜産業に由来していることとなります。

畜産業のなかでも「牛(牛肉や牛乳など)」の生産においての排出量が最も多く、65%を占めます。豚肉は9%鶏肉・卵は8%の排出量となり、豚と鶏の生産量と排出量は今後増えていくと予想されています。

アマゾン森林破壊

アマゾンのナマケモノ

地球上の熱帯林総面積のおよそ半分を占める、世界最大の熱帯雨林アマゾン。アマゾンには、多くの生物や植物が生息し、1999年からの10年のあいだに1200種類もの新種生物が発見されるなど、生物多様性に富んでいます。

豊かな自然と生物に恵まれているアマゾン熱帯雨林ですが、森林破壊が深刻な問題となっています。ブラジル国立宇宙研究所(INPE)の報告によると、2019年8月から2020年7月にかけて合計11,088平方キロメートル(4,281平方マイル)の森林が失われました。この結果は前年度から9.5%増加し、当時サッカー場の広さの森林が1分ごとに破壊されていると言われていたペースよりも、加速していることが分かります。

 Amazon Deforestation

アマゾン全体面積の約60%を占めるブラジルのアマゾン熱帯雨林は、過去10年間に吸収した二酸化炭素よりも20%近く上回る二酸化炭素を大気中に排出しました(Nature ClimateChange。 2010年から2019年にかけて、166億トンの二酸化炭素を排出したのに対し、吸収量はわずか139億トンです。

2035年までにアマゾンの森林の炭素吸収能力は、ゼロに達するとも予測されています(Nature)

それでは「なぜアマゾンの森林破壊が進んでいるのか」ですが、その背景には『牛肉』と『大豆』の生産があります。なかでも、アマゾンの大部分を占めるブラジルは世界最大の牛肉輸出国で、2019年の牛肉輸出額は約75億ドル、輸出量は約184万トンと過去最高を記録しています(ブラジル牛肉輸出業協会(ABIEC))。人間が食べるため・需要を満たすために沢山の牛を育てる必要があるので、アマゾンの森林を伐採し、放牧・畜産の場所をつくっているのです。そして、その家畜のエサとなる飼料用大豆を育てる農地を拡大するためにも、森林を破壊しています。このように、家畜が要因となってアマゾンの森林が破壊がすすみ、生き物が住む場所を失なっています。

飼料用穀物と飢餓

麦畑

世界の飢餓人口は増え続けており、現在の推定では6億9千万人近くが飢餓に苦しんでいます。これは世界人口の8.9%となり、1年で1000万人、5年で6000万人増加していることとなります。深刻な食料不足の影響を受けた人々の数も増加し、 2019年には7億5,000万人近くが、つまり世界の10人に1人が飢えに苦しんでいます。

世界では毎年26億トン以上の穀物が生産されているので、実際には世界のすべての人が十分食べられる食料が生産されています。ところが、現実には多くの人が飢餓に苦しんでいるのです。気候変動による自然災害、干ばつや洪水が原因で農作物の収穫量が減り、穀物のバイオ燃料への転用などによって食料の価格が高騰し、経済的に貧しい人々が食料を手に入れることが難しくなっています。

貧しい人に行き届いていない「穀物」の多くは、牛や豚などの畜産動物のエサのためにも使われています。例えば、畜産物1キロあたりの生産に必要な穀物は、牛肉は11キロ、豚肉7キロ、鶏肉3キロです。世界人口は2019年の77億人から2050年の97億人へと20億人の増加すると予測されているため、食料の生産量も増やしていく必要がでてくるでしょう。そうなると、肉の需要も高まります。2050年には、今よりさらに穀物の生産は10億トン、肉の生産は2億トン以上が必要になってくるだろうと予測されています。

水不足

深い青い水

家畜を育てるためには、大量の水が使われています。1人が1日で使う水は約186Lと言われていますが、私たちが食べている食材に、どのくらいの水が利用されているのかを知るのに、「バーチャルウォーター」があります。バーチャルウォーター(仮想水とは、食料の輸入国で、もしその輸入食料を生産するとした場合、どのくらいの水が必要になるのかを推定したものです。

このバーチャルウォーターで、食肉を生産するために利用される水量を計算してみると、鶏肉1kgには4,500L、豚肉1kgには5,900L、牛肉1kgには20,600Lの水が必要ということが分かります(環境省:仮想水計算機)。

ちなみに他の食材を調べてみると、お米1kg(7合)は3,885L、りんご1kg(4個)は277L、豆腐1kg(3丁)は188Lの水が必要という結果となりました。これらの数字と比較してみると、お肉に必要とされる水量が多く、なかでも牛肉の水量が多いことがはっきりします。

また、商品やサービスを生産する過程で消費された水量を推測し、限られた淡水資源がどのような目的で消費、汚染されているかを理解するのに役立つ「ウォーターフットプリント」を見てみると、世界の家畜生産には、年間約2422Gm3(グリーン87.2%、ブルー 6.2% 、グレー6.6% )の水量が必要とされており、水量の3分の1は牛肉の生産に使われていて、乳牛では19%使われています。2422Gm3の水量のうち98%は動物の飼料を生産するために、1.1%は動物の飲料水のため、0.03%は飼料に混ぜる水、0.8%はその他というように、畜産動物のエサのために使われる水の量がとても多いのです。(Mekonnen, M.M. and Hoekstra, A.Y. (2010),UNESCO-IHE

地球には水が豊富に存在していると思われていますが、実はそのほとんどは海水で、淡水(=人間が利用可能な水)は、わずか2.5%程度しかありません。今後数十年の間に、世界の人口増加や気候変動や異常気象が原因となり、水資源に影響を与え、水不足がより深刻化すると言われています。2040年までに世界の子ども約4人に1人が、水不足の影響を受けると予測されているのです。

抗生物質の乱用

農場の鶏

畜産業では、動物の病気を防ぐためだったり、成長を促進させるために抗生物質を家畜のエサなどに混ぜて与えています。抗生物質は、実は人間ではなく食用動物に対して最も使われていて、世界で販売される抗菌薬の73%が、食料用に飼育される動物に使用されています。

家畜への抗生物質の乱用や過剰摂取により、抗生物質への耐性をもつ細菌が増えて、抗生物質が効かなくなる薬剤耐性が発生します。家畜に生じた薬剤耐性菌は食肉を通じて人に感染し、伝染病の原因となる可能性があります。

動物性たんぱく質の需要を満たすために、畜産業が抗菌薬に依存することは世界中の畜産農家の持続可能性を脅かす恐れがあると懸念されています。世界保健機関(WHO)では、食用家畜の生産過程において、成長促進や疾病予防を目的とする日常的な抗菌薬の投与を中止するよう、農家や食品業界に勧告しています。

抗生物質はコストの削減にもつながり、狭い場所で効率よく飼育できることも理由のひとつとなっています。アニマルウェルフェア(動物福祉)の考えを持って、抗生物質を乱用せずに動物にとって適切な環境で、ストレスのかからない状態で健康的に免疫力が上がるよう飼育する必要があるでしょう。

まとめ

畜産の問題を知り、お肉を食べることを改めて考えるようになったのは、映画「カウスピラシー(持続可能性の秘密)」を観たことです。この映画をきっかけに、動物性食品を控える食生活へ変えていくようになり、食肉について調べているうちに、街中でも良く目にする『ハンバーガー1個』に使われている水の量が多いことを知りました。中身がシンプル(パンと牛肉)なハンバーガーでも最低約1,000L必要で、内牛肉は927Lも占めています。これには、たいへん衝撃を受けました。

SDGsの目標2では、2030年までに「飢餓をゼロに」と、人々に安定して食料を供給し、飢餓をなくすことを目標にしたゴールがあります。目標を実現するためには、人口が増加すると予測されている中で、世界中で食料を安定的に確保するためには、今まで以上に持続可能な食料生産の仕組みを作っていくことが求められていくと思われます。

ふだんの食生活の見直しをして、環境負荷の多い食材を食べる回数や量を少しだけ減らしてみるなど、負担なく改善できそうなことがあれば、できることから始めてみてはいかがでしょうか?今まで注目していなかった食材を発見したり、料理を楽しむきっかけとなるかもしれません。

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