砂糖をまぶしたドーナツ

砂糖と環境問題の関係とは?/ 地球にやさしい選択をしよう

料理やお菓子作りに欠かせない「砂糖」が、生産地から私たちの食卓にわたるまでの間、どのくらい環境に負荷を与えているのかご存知でしょうか?
普段あまり意識せずに食している砂糖ですが、実は砂糖を生産・加工することは、森林破壊や水の汚染、生物多様性を脅すといった様々な問題の原因となっています。日本でも、砂糖の原料となるサトウキビが栽培されていますが、環境に悪影響が出ています。
どんな食材においても、私たちが何気なく食べているものがどのように作られ、環境に影響を与えているのかを知ることは大切なことです。ふだんの暮らしで自分が「何を食べたらいいのか」「何を変えたら環境にいいのか」を選択するきっかけとなり、自分の健康にやさしいものを選ぶことで、私たちの暮らす地球の健康も守ることにつながります。
今回は、砂糖がどのような影響を環境に与えて問題になっているのかについて、ご紹介していきます。(この記事は、WWF「SUGAR AND THE ENVIROMENT」と、そのほか参考資料(2ページ目最後に参考・引用資料一覧あり)を元にまとめて解説しています。)
砂糖の環境問題を解決するための「暮らしのアイデア」はこちらのページをご覧ください。

砂糖とは?/ 日本の砂糖について

色々な種類の砂糖

お砂糖の原料は「サトウキビ」と「てん菜」という植物です。サトウキビはイネ科で、温暖な地域(日本では沖縄県や鹿児島県の南西諸島)で生産されています。てん菜はヒユ科で、温帯の冷涼な地域(日本では北海道)で育ちます。

日本のお砂糖の原料は、約3〜4割は国内で生産され、残りの約6〜7割は海外から原料糖のかたちで輸入しています。家庭で使われる砂糖は約10%ほどで、その他はパン・菓子類が約40%、清涼飲料が約20%と製品のために使われています。

出典: 砂糖の用途別構成比(2015年):農林水産省

環境問題①:森林破壊と土壌浸食

アマゾン熱帯雨林

それでは、砂糖が与える環境への影響を見ていきましょう。まずは森林破壊と土壌侵食の問題についてです。サトウキビの栽培には広い土地が使われていて、森林が伐採され生態系に悪影響を及ぼしています。また土壌浸食という土地が使い物にならなくなる事も深刻で、砂糖の原料となるサトウキビ等の栽培の持続が難しい状態になっています。

サトウキビ栽培と森林破壊

アマゾンの森林破壊

砂糖の原料となるサトウキビを栽培するために、熱帯雨林や雨緑林の森林が伐採されています。世界の15カ国では、国土の10〜50%をサトウキビの栽培に使用、さらに7カ国では土地の50%以上を使用しています。世界の湿地の半分は農業のために失われており、ヨーロッパとアメリカでは、70〜90%の湿地が失われ、保護された湿地地域も影響を受けています。

世界の砂糖生産量(2021年)を見てみると、生産量の多い国は、1位ブラジル、2位インド、3位EUとなり、世界最大の砂糖生産国であるブラジルでは森林破壊が深刻な問題です。森林伐採による土地の開墾は、生き物やその生息地を失うだけでなく、生態系機能にも影響を及ぼします。

ブラジルの大西洋岸森林は、サトウキビ農業のために森林が伐採された結果、元の森林地帯がわずか7%しか残っていない状況です。今後予測される世界的なサトウキビの需要を満たすために、2050年までに約50%の土地を耕作し増やす必要があると言われています。

農業収穫量に影響が出る「土壌浸食」

サトウキビ畑

土壌浸食も問題となっています。土壌浸食とは、降雨や風、流水などにより土が運ばれて、土地が荒れ果てて使い物にならなくなることを言います。サトウキビを栽培しているほとんどの地域(熱帯地域)で土壌浸食が起きており、そのせいで農業収穫量に影響が出たり、サトウキビ等の栽培の持続が難しくなる可能性が出てきます。それから収穫時の土壌損失が懸念されているのですが、シュガービート総収穫重量の10〜30%が土に当たり失われています(サトウキビの場合は3〜5%)。

栽培の現場で使用される重機によっては土が締め固められてしまい、水と空気と栄養の浸透率を低下させて、土とそこに生息する生物の状態を悪化させます。水の浸透が減少すると、水の流出率が増加して洪水につながる恐れがあります。

環境問題②:水の大量使用と灌漑、水不足への影響

深い青い水

サトウキビの栽培には、1年で1ヘクタールあたり1500〜2000mmの水を必要として、大量の水を使います。ジャガイモは350〜450mm、人参は350mm、ブロッコリーは200〜250mmの水が必要です。)サトウキビの根は深く、1年中土壌に残ります。降雨に頼ってサトウキビ栽培を行う地域では、サトウキビは地下水を吸収し、土の中の雨水が川に流れ出るのを阻止するため、川の流れに影響を与える可能性があります。
そしてサトウキビ栽培に灌漑の問題が加わると、さらに水の問題が深刻になります世界では淡水(=人間が利用可能な水)の取水量の70%、乾燥した国では90%パーセントが灌漑用として使われています。灌漑(かんがい)とは、農地のために外部から水路を引くなどして人工的に水を供給することです。
安価な灌漑方法を導入した場合、世界の多くの地域では管理が不十分なため、農業のために引き出した水のうち30〜35%だけが作物に届き、残りの水は蒸発または農地から流れ出て失われます。一般的に灌漑の管理はとても非効率で、大量に水を引き出すと堆積物や農薬、栄養素を含む汚れた灌漑用水が流れ出ます。
地球には水が豊富に存在していると思われていますが、実はそのほとんどは海水で、淡水=人間が利用可能な水は、わずか2.5%程度しかありません。今後数十年の間に、世界の人口増加や気候変動や異常気象が原因となって水資源に影響を与え、水不足がより深刻化すると言われています。2040年までに世界の子ども約4人に1人が、水不足の影響を受けると予測されているのです。

環境問題③:農薬・肥料の使用による被害

花の上のてんとう虫

サトウキビやてん菜を栽培するために農薬や肥料を使いますが、この農薬の使用により人々の健康に影響がでたり、肥料を使うことで温室効果ガスが発生するという問題が起きています。また砂糖へと加工する時に出る汚染水の排水も問題です。

農薬中毒による被害の発生

砂糖の原料となる作物の栽培には、様々な種類の農薬が使用されており、発展途上国では農薬の使用により、毎年多くの農薬中毒・死亡が発生していると推定されています。農薬の80%以上が先進国で使用されていますが、中毒症例の約99%は健康や環境に関する規制が弱い発展途上国で出ています。

肥料の利用が温室効果ガスの発生につながる

農業では、作物を栽培するために肥料を使いますが、この肥料のすべての栄養素が作物に吸収されるわけではありません。作物に吸収されなかった化学肥料(窒素肥料)は農地外へと流れ出て、飲料水の地下水汚染を引き起こし、土壌中では温室効果ガス(一酸化二窒素,N2O)を発生させます。
一酸化二窒素(N2O)の放出量は、過去40年間に渡って人間活動による放出が30%増えています。増加の主な原因は、農業における窒素肥料の使用と、家畜からの堆肥製造といった農業活動が増加したことにあるということが分かっています(Nature)。
世界のN2Oの収支

地下水の汚染は日本でも起きています。鹿児島県最南端の与論島の主産業はサトウキビ栽培ですが、畑で過剰に肥料が使われると、サトウキビに吸収されなかった肥料の栄養分は、雨や灌漑水に溶けて地下に染み込んで地下水を汚染します。この地下水は海底から湧き出して、海中の栄養を増やして海水を富栄養化しサンゴを減少・死滅させる原因となり、サンゴの海を汚します。

砂糖の製造による汚染水の排水

汚染水

サトウキビとてん菜を加工して、砂糖を製造する際に出る汚染水が排水されると、川や生物に悪影響を与える可能性があります。環境保護に関する法律が十分整備されていない一部の国では、製糖工場が清掃されると大量の有機物が放出され、直接川に流れ出ますが、サトウキビの製糖工場から排出される水は、有機物が比較的豊富に含まれています。水中の有機物の分解により、水に溶けている酸素濃度(溶存酸素濃度)が低下し、淡水に住む生き物に悪影響を与えます。排水には、重金属、油、グリース、そして洗浄剤などの汚染物質が含まれることがあります。

ネパールのゴーラクプルでは、​​2つの製糖工場と蒸留所からの不適切に処理された水が小川に排出され、小川の水は飲用水、入浴、そして灌漑として使用することができなくなりました。

また製造において水がたくさん使われているという問題もあります。サトウキビの精製砂糖を1ポンド(約454g)の作るために、213ガロン(約968ℓ)の水が必要です。これは、小さじ1杯の砂糖に約34ℓの水が使われるという計算になります。このように砂糖を製造するためには、大量の水が使われています。

環境問題④:焼き畑による大気汚染

サトウキビ畑、休耕

砂糖を生産する多くの国では、サトウキビの焼き畑が行われます。刈り取り、収穫後の栽培、そして害虫駆除を容易にするため、サトウキビ畑は収穫直前に焼かれるのです。この焼畑は、大気汚染を引き起こし、土壌を劣化させます。

タイでは大気汚染が深刻な問題となっていることから、タイ政府は砂糖を収穫する機械であるハーベスタの導入を支援をはじめ、2019年2月に2022年までに焼き畑の割合を5%以下に削減するという目標を掲げています。

土壌の劣化については、持続可能でない焼き畑がされると、土の微生物の活動と土の物理的・科学的特性が低下して土壌の質が悪化します。土の状態が悪いと回復が難しくなり、その土地を利用しての栽培が難しくなるため、別の土地へ移動する必要がでて森林を伐採します。こうした焼き畑は、森林破壊の原因の一つとなっています。

環境問題⑤:生物多様性に欠ける土地、生息地の喪失

空を飛ぶ鳥

砂糖の原料となる作物をつくる土地は、生物多様性に欠けています。これまで解説してきたように、森林伐採や汚染水の排出、農薬・肥料の使用、焼畑によって生物多様性が脅かされているのです。

サトウキビ畑に生息する鳥類や哺乳類などの脊椎動物は、 たびたび有害生物と見なされて追い出すなどの対策が取られますが、多くの動物は雑草や害虫の天敵として有益かもしれず、(無害の)野生生物は、雑草や害虫を重要な餌資源として、食物連鎖や農業生態系のバランスに対して重要な役割を果たす可能性があります。このように生物多様性は、農業生態系の主要な機能とプロセスを維持し、食料の生産を支援するために必要です。

砂糖産業によるダムの建設や、耕作地から流出した水の影響も出ています。オーストラリアの砂糖産業が関わったバーデキン川、タリー川、バロン川へのダム建設により、グレートバリアリーフ ラグーンへの淡水の流れを変えてしまいました。サトウキビ畑に大雨が降った後は、流れ出る水に堆積物と水の栄養を増加させ、これが海に流れ込みます。この流水は水質を低下させ、サンゴ礁に影響を与えます。

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